ター坊が叫んだ!

  • 2010/03/21(日) 20:23:02

夜に家に帰ったら、ター坊のお兄ちゃんからメールが届いていました。雪絵ちゃん
キャラバンが滋賀で始まって、そのときに、偶然にター坊にいちゃんに出会いまし
た。ター坊はもう長い間、気持ちを言葉では伝えられずにいるということを聞いたの
です。私はそのときに、何かスイッチが入りました。絶対に誰もが気持ちを持ってい
る。その気持ちを伝え合える方法っていっぱいあるはず。宮ぷーはそのことをきっと
伝えてくれる。私は本気モードでやったるやったると、変身スイッチがはいったので
す。
ター坊にいちゃんからのメールです。

・ ・・・
かつこ様、朝からター坊とレッツチャットごっこをしました。僕が指を支えたり
指を持ってスイッチを押しながら、「うまいもんくわせろー」みたいなことを、一緒
に打っていたら、ター坊の親指の力がぐんぐん強くなり、「あ・い・う・え・お」の
ところでは、押したい字のところで押し始めました。一文字早く押し「おっ、早かっ
たな」と言っていたら、次の文字で、ぴったり押し、「やったね!」と言ったら、そ
のまま3分ぐらい、「あおーん」「おおーん」と叫んでました。ター坊が叫んだ!
ター坊が叫んだ!今日でちょうど9年目。今日は記念日でした!母も、兄も、義理の
姉も寄ってきて、「怒った?」「疲れた?」と笑い顔。あれは、絶対、うれしかった
んだと思います。やったぞー!という感じでした。そのまま、ずっと何回も指をうご
かしてましたから、決して疲れたんじゃない!9年目のこの日に神様が合わせてくれ
たんだろうか、昨日は一日役員会。夜は兄一家を迎え、もてなすのでいっぱいで、ス
イッチが届いているのに気がつかなかったのです。押せたのは確かですが、押しっぱ
なしで、すぐ指を戻せないので警報音みたいな音が鳴ってしまうのですが、とにか
く、とっても貴重な第一歩です。かっこさん、宮ぷーさんありがとう!僕らの心にも
スイッチ・オン!です。
・ ・・・・

やったやったやったー!! すごいよ、ター坊。9年目の昨日新しい出発。ター坊は
おそらく、目の動きなどで、ハイとイイエはつたえられていたと思うのです。でも、
ハイとイイエだけでは伝えきれない気持ちがあるよ。もっともっと気持ちを伝えて。
たくさんの人と気持ちを伝え合おう。それから、スイッチの押しっぱなしは、ナース
コールのように、何かのときに、誰かに助けを呼ぶためについている機能。押しっぱ
なしになりやすいときは、確かレッツチャットの設定でうまくいくよ。

 そんな昨日の夜に、靖子ちゃんからDVDが届いていたよ。靖子ちゃんが、意思伝達
装置にしぼって、新しい予告編を作ってくれたんだよ。それと前の予告編に、宮ぷー
のCTの映像を入れたものも、一緒に送ってくれたよ。宮ぷーが脳幹出血をしたときの
CT。脳幹は脳の真ん中にあって、CTで断面図を見ると、丸い管のようになっていま
す。血は撮影すると白く映るのだけど、宮ぷーの脳幹は、ほとんど血で埋まっている
ことがわかります。映像の中で簡単には説明できないけど、でも、ご存知の方が見ら
れたら、宮ぷーの出血の度合いがわかられるのだと思います。それから、新しい予告
編。宮ぷーがコミュニケーションをとる方法を取り戻していく様子がよくわかりま
す。そして、そのために必要だった意志伝達装置。予告編の最後には、「この予告編
で使用された装置」として、脳波スイッチのマクトス。それから、レッツチャットと
伝の心がしっかりと書かれています。気持ちの伝え合いについて、僕は真剣にそれを
伝えて行きたいと言ってくださったいむらさんが、「企業の方とも手を取り合って、
それが可能になればいいね」とおっしゃっておられました。本当にそう。そうなった
らいいな。
靖子ちゃん天才。天才監督だよ。はやくみなさんにも観てもらいたいです。
 宮ぷーやター坊のように、たくさんの人が、気持ちが伝えられるようになったらい
いな。近視や遠視にめがねが必要なように、車椅子や補聴器やたとえば、酸素吸入器
と同じように、あたり前に、意思伝達装置がとても必要なんだということをみんなが
知るようになったらいいなあ。

今朝、アルバさんともお話をしました。アルバさんは「かっこちゃん、幸せってな
んだろう。花も幸せって思うのかな。誰もが幸せになるってどういうことかな」と言
いました。
 私はその話を聞いて、宮沢賢治さんの銀河鉄道の夜のお話を思い出したよ。

・ ・・・
あれは何の火だろう あんな赤く光る火は 何を燃やせばできるんだろう あれはさ
そりの火だよ さそりが焼けて死んだのさ その火が今でも燃えていると言う むか
しのバルドラの野原に一匹のさそりがいて 小さな虫やなんか殺して食べて生きてい
た するとある日、イタチに見つかり食べられそうになった さそりは一生懸命逃げ
た けれどもとうとうイタチに押さえられそうになった その時、前にあった井戸に
落ちてしまった どうしても上がる事が出来ずに さそりは溺れはじめた その時、
さそりはこうお祈りした ああ、私は今まで幾つもの命を 奪い取ったかわからない
 そして今度は私がイタチにとられようとした時、あんなに一生懸命逃げた それで
もとうとうこんなになってしまった どうして私は私の身体を 黙ってイタチにくれ
てやらなかったろう そしたらイタチも一日、生きのびたろうに どうか神様、私の
心をごらん下さい こんなに虚しく命を捨てずに どうかこの次には誠にみんなの幸
いの為に 私の身体をお使いください そしたらいつかさそりは 自分の身体が真っ
赤な 美しい火になって燃えて 夜の闇を照らしているのを見た その火が今でも燃
えていると言う どうか神様、私の心をごらん下さい こんなに虚しく命を捨てずに
 どうかこの次には誠のみんなの幸いの為に 僕はもう、あのさそりのように 本当
にみんなの幸いの為なら 僕の身体なんか 百ぺん焼いてもかまわない 
・ ・・

ねえ、宮ぷー。銀河鉄道の夜を始めて読んだのはいくつのときだっただろう。暗い夜
に、赤い目玉のさそりの星に、そんなお話があったんだね。私はなんだかわからない
けど、そのとき、すごく泣けたよ。泣けて泣けてしょうがなかったよ。宮ぷー、私
ね、昨日は、こんなことを書いたよ。自分のしたいことをして、そして、それで、
誰かが幸いになれたらうれしいけど、でもそれはきっと結果なんじゃないかなあっ
て。でもね、一日考えて、果たしてそんなふうに言ってよかっただろうかと思った
よ。たとえば、星野ひとつさん。毎日私が書く日記をアップしてくださって、いただ
いたメールを全部私の携帯に転送してくださってるよ。毎日毎日続けることはやっぱ
り簡単なことじゃない。ひとつさんはどう思われるだろうか? したいからと思われ
るだろうか? それとも、宮ぷーや私が多くの方とつながれるなら、そうしようと思
われてるだろうか? お世話になっている私が、昨日、あんなことを書いたのは、ず
いぶん傲慢だったのじゃないかなあと思ったりしたよ。そして、人の幸いのためな
ら、自分の体が百ぺん焼かれてもかまわないというそんな生き方をされている方がた
くさんおられるんだなあと思ったりもしたんだよ。

 ね、幸せってなんだろう。私は昨日、宮ぷーと一緒にロビーで紅茶を飲んだ。なん
だか幸せだなあと思ったよ。宮ぷーはね、いつも、どんなときでも、幸せは手の中に
あるんだよと教えてくれたね。
 昨日はね、本当を言うと、またちょっぴりけんかしたんだよね。けんかって言える
かわからないけど、恭子ちゃんが「お兄ちゃんは昼間テレビばかり見てて、ちっとも
座ろうとしないし、テレビばっかり見てる。かっこちゃんといるときだけいいかっこ
してる」って言ったんだよ。それで、宮ぷーに「本当?」って聞いたら、しばらくし
て、うんって言ったよ。それでね、宮ぷー、どうしてなの? 宮ぷーは治りたいんで
しょう? 何にもしないで治る? 治らないよ。リハビリは苦しいしつらいのかな?
 宮ぷー、方法は二つあると思う。つらいリハビリとか練習を全部やめて、ずっとテ
レビ観ていて、横になってて、でも、体は治らない。しかたないよね。そういう方法
と、もうひとつは、つらくても苦しくても治りたいから頑張るという方法の二つ。私
はリハビリを休みたくないというきもちもあって、毎日、どんなときも来てる。で
も、リハビリしないんだったら、あんまり来ないかもしれない。今も、かっことのリ
ハビリが嫌だなあとかやめたいなあと思っているんだったら、もう帰っちゃう。

 本当になんていじわるなのでしょう。宮ぷーは泣きそうになって「がんばるからゆ
るして」って言ったよ。それで、また私、怒っちゃったの。宮ぷー、「がんばるから
ゆるして」って言うのも違うよ。私はそんなことで怒ってないよ。許してほしいから
がんばるとか、かっこちゃんが怒るからがんばるっていうのだったら、続かない。そ
れはぜんぜん違うよ。治りたいから頑張るのじゃないとだめだよ。もうね、宮ぷーが
うんと頑張って、そして、夜はかっこが一緒にがんばるしかないんだよ。それしかな
いよ。
 そんなことを言ったんだよ。そうしたらね。宮ぷーが「きょうからほんきもーど 
ひるはてれびをけしてがんばる」って言ったよ。そして一緒にいっぱい頑張ったんだ
よ。それなのにね「うごかない うごくようになるかしんぱい」と言ったよ。
 宮ぷー、こっちを見て、あのね、宮ぷー、かっこが治す。宮ぷーが頑張るなら、
かっこが治すよ。全部治す。本当なんだから。できるもん。

 私ったらそんなことを言ったんだよ。でも、嘘じゃないもん。今日だってね。宮
ぷーはちょっと熱があったんだよ。でも、がんばるっていってくれたの。そして「あ
しをまげてすわる」とレッツチャットで言ったよ。ベッドを起こして、そしてなんと
か足をまげて宮ぷーに座ってもらったよ。首を起こす練習を10回。すごく頑張って、
目が真剣になって、首を宮ぷーが建て直す。がんばれがんばれって、私は手に汗握る
ようにして応援したよ。それから、左手の練習。左手はあまり動かない。でも、親指
を人差し指のつけねのあたりまで動かすというのを50回。つけねまでいかないとき
は、いってないよ、もっともっと。そう、そうって言ってつけねまでいったのだけ数
えたんだよ。それから、次は人差し指を曲げる練習。それも、親指の近くまで行くよ
うにして、50回。それからね、右手を見ながら、表と裏へ返す練習をしたよ。最初は
なかなか裏へ向かせることができなかったのに、最後はくるっくるっくるっくるって
まわすみたいにして動かせたんだよね。

 ほら、宮ぷー、だいじょうぶ。宮ぷーはどこも動かなかったよ。けどひとつひとつ
こうして取り戻していく。時間はかかるよ。でも、取り戻していけば、きっといつか
は元通りになるよ。だから、がんばろう。がんばろうね。だいじょうぶだよ。必ずで
きる。
いつのまにか熱もさがっていたね。ああよかった。神様今日もありがとうございま
す。みなさん、今日もありがとうございます。

かつこ

車椅子でお食事

  • 2010/03/21(日) 20:16:11

今日もうれしいことがいっぱいあったよ。
昨日お休みさせてもらって、今日病院へ行くと、宮ぷーが「ひさしぶり」と笑った
よ。あはは、「おひさしぶりです。こんにちは」私が言うと、また宮ぷーが笑った。

 今日は宮ぷーの同僚の荒木先生が、来てくださったよ。宮ぷーの教え子さんのお二
人が卒業されて、宮ぷーへのお手紙と詩と、そしてお二人が出ているDVDを持ってき
てくださったんだよ。宮ぷーはうれしそうだったなあ。宮ぷーは病弱養護学校の教員
をしている。宮ぷーはやっぱり子供たちのことがとても気がかりで、ときどき「げん
きかなあ」と言うよ。夏の頃、まだ宮ぷーがどんなふうにしても、気持ちを伝えられ
なかったころ、國學院大學の柴田先生という方が来てくださった。先生は、手振りと
いう不思議な方法で、とても重い障害の方の気持ちを聞かれることができる。「あか
さたなはまやらわ」と言いながら手を振ると、その方が言いたい場所でふっと手が重
くなるというのです。それで、先生はたくさんの方の気持ちを聞いておられます。そ
の柴田先生が来てくださった。そして、宮ぷーの手をとって、先生は宮ぷーの気持ち
を聞いてくださったんだよ。

そのとき、先生が「気になることはない?」と聞いたら、宮ぷーが子供たちのことを
話したよ。「特にありませんが、少し気になっているのは学校のことです。人間として
の輪を大切にしてもらいたいと子どもたちに伝えてもらえたらうれしい。よい子ども
達ばかりですから、願いを伝えたいです。きっとまた会えると思うので、待っていて
くださいと伝えてください。よろしくお願いします。勇気を持って生きていきます
ので、みんなも頑張ってください。とくに理解してほしいことは、勇気を忘れないと
いうこと。勇気を忘れなければ。私もきっと私らしく生きていけると思いますので、
みんなもみんならしく生きてもらいたいです。私も私らしさを大切に生きていきたい
と思います」と宮ぷーは先生の手を通して言いました。そのことは本当に不思議なで
きごとだったけれど、宮ぷーの思いはとても深くて、大好きな子供たちにずっとどん
なに会いたいと思っていることだろう。

今日は、荒木先生に「おめでとう はやいなあ」と子供たちへ言葉をたくしていまし
た。
 それから、宮ぷーと荒木先生はおたく仲間なので、スターウォーズのお箸を自慢し
たんだよ。「わ、これいいなあ。これいいなあ」と言う荒木先生、「あげんよ、ね
え、宮ぷー」といういじわるかっこでありました。(私も荒木先生とお友達なのです
それからね、宮ぷーと荒木先生で、ベッドでスカイプを使った授業をしていて、それ
が、文部大臣のすごい賞をもらったんだって。すごいなあ。
荒木先生が帰られた後、私がエレベーターまで送っていくあいだに、宮ぷーはレッツ
チャットで「わーい。あらきせんせいだ」と作っていたよ。よかったね。お友達がき
てくださるとうれしいね。

 それから、看護婦さんに見ていただいている中で、すべり板なしで、車椅子に乗っ
て、お散歩に行きました。出掛けに、介護士さんが、「宮田さん、胃ろうのお食事、
車椅子に乗ったまま食堂でとる?」と言ってくださいました。わーい、わーい。うれ
しいな。うれしいな。看護師さんも、お散歩帰ってきて、状態を見て、決めようねと
言ってくださったのです。
うれしいなあ。他の方みたいに、お食事のときだけでも、車椅子に乗れたら、車椅子
に乗る機会が増えるから、そうなったらいいなあ。
車椅子で、売店をみていたら、宮ぷーが「ごはんですよ」というのりのびんを見て
「たべたい」と言いました。本当だね。食べたいね、「ごはんですよ」おいしいよ
ね。私も大好き。おかゆが食べられるようにいつかなったら、ごはんですよをここに
買いにこよう。

前にいた3階をうろうろして、帰ってきたら食事が始まっていました。満員だったの
で、食堂の近くで窓を見たり、食べておられる様子を見て、待っていたのです。
宮ぷーもここで毎回、お食事できるといいね。胃からのお食事でも、毎回車椅子に
乗ってすごせたら、きっと回復も早まるね。そんなことを言いながらいました。そし
て、そのあと、テレビの前でチューブをつないでいただいて、初めて食堂でお食事し
たんだよね。ひとつひとつのこと、少しずつだけど、大切な宮ぷーの足跡だよね。本
当にそう思います。今日、車椅子で一緒にお休みの日にお散歩できたのも初めて。食
堂でお昼をしたのも始めて。うれしいね。
病室にいるときに、私の本の装丁をしてくださった石川直美ちゃんからのメール
「わーい、なおみちゃんだ」って書いてから、あ、これ、さっき宮ぷーが「わーいあ
らきせんせいだ」って書いたのとおんなじだって気がつきました。友達はうれしい。
大好きなお友達がいるって、すごく幸せって、本当にこんなに幸せなことはないなあ
と思いました。

宮ぷーは、看護師長さんが外泊したらと言ってくださったことがとてもうれしくて、
「いつがいはくできる?」と何度も聞く。恭子ちゃんに聞いてみないとわからないけ
ど、4月10日のときは、私はだいじょうぶだよと言ったよ。そうしたら、宮ぷーが
目を輝かせた。ねえ、宮ぷー。手動の吸痰の機械も注文したんだよ。3000円
ちょっとだったよ。電動のはまだなかなか買えないということもあるけど、あの電動
のはすごく重いし、大変。ちょっとくらいのお散歩だったら、バッグに入れられる吸
痰の機械あったら、きっと便利だものね。
でもね、恭子ちゃんが来て、4月10日のことを言ったら、「まだ早い、なんの準備
もできていないからだめ」と言うことだった。私も少し、宮ぷーの応援をして「食事
のときは車椅子ですればいいし、ベッドは、起き上がるタイプだったらそれはいいけ
ど、どうしてもということはないからだいじょうぶだよ」と言ってみたけど、恭子
ちゃん、ちょっと怒って「おにいちゃんとかっこちゃんの好きにすればいいやん」と
言って泣いちゃったよ。わー、どうしよう。恭子ちゃんごめんね。

恭子ちゃんは赤ちゃんがいるよ。恭子ちゃんが「涼平も寝るかわからないし、痰も夜
は心配だし、涼平もそれで体調をくずすとあとが大変だから」と言ったら「きょうこ
はよるはかえればいい」と言ったら、泣いちゃったんだよ。困ったなあ。困ったな
あ。恭子ちゃんもお兄ちゃんが大好き。宮ぷーも、恭子ちゃんや涼ちゃんが大切だか
らきっと言ったことばだったんだよね。私もどうしたらいいかわからなくて、病室を
出たよ。二人でお話したほうがいいかなあと思ったの。
 けれど、私は思ってる。看護師長さんが言ってくださったんだもの。たぶん早すぎ
るということはないんだと思うな。それがたとえば、5月になっても6月になって
も、きっと慎重な恭子ちゃんにとったら早いって思うのかもしれない。でも、慎重な
ことも大切だものね。だから、やっぱりどうしたらいいかわからないや。

私が病室へ帰ると、恭子ちゃんはいなかったよ。宮ぷーは「すぐなく」「ないちゃっ
た」「おこったね」と気にしてたよ。メールしようかというと、いいという宮ぷー。
でも、夜8時くらいに恭子ちゃんは宮ぷーが恭子ちゃんに頼んでいた、ホワイトデー
のお菓子をもってきてくれたよ。そしてね。恭子ちゃんは最初ちょっぴり怒っている
みたいな感じで、目もあわなくて、どうしようと思ったけど、宮ぷーが口をパクパク
して、「ご」って言ったとたん、また恭子ちゃんが泣いちゃったよ。うれし泣きだっ
たんだね。「ごめん」って言いたいんやろ。わかったよ。恭子も感情的になってごめ
ん。ってそう言ってた。素敵な兄妹だね。
そっかあ、明日はホワイトデーだね。宮ぷー、素敵なお菓子をありがとう。明日は晴
れるんだって、お外に出れるかなあ。

昨日、くりりんのCDのお話を書きました。すごく素敵な詩ですね、どこで買えるので
すか?というお尋ねをいただきました。視聴ができるそうなので、いちじくりんに書
きました。それから、購入方法も教えてもらって書きました。

かつこ

特別な日、2月20日

  • 2010/03/21(日) 20:07:45

とうとうこの日が来たよ。一年前に宮ぷーが倒れた日。すごく長かったような、でも、
あっという間だった気もします。宮ぷーはどうだろう。一日一日、苦しい中にあれば、
長いだろうか? それでも、過ぎてしまえば、あっという間だと思うのかな?
宮ぷーは本当に一年よく頑張ったよね。本当に、頑張ったよ。だって、息もしていな
い、瞳孔も開きっぱなし、舌も口から出たままで、内臓のどこも動いていない。そん
な中にいたんだもの。宮ぷーの命を助けてくださったたくさんの人たち、お医者さま
や看護婦さんや、リハビリの先生や、たくさんの人たちに、改めて、お礼を言いたい
です。いつも、感謝しているけれど、やっぱりきちんと口に出して、お礼を言いたい
です。そして、宮ぷーがすごく頑張ったことにも、私、改めてお礼を言いたいの。一
年という今日という日が来て本当によかったね。

ねえ、宮ぷー、宮ぷーは今日も新しいことができるようになってる。毎日、少しずつ
だけど、確実によくなってる。本当にそれは奇跡のようだけど、でも、きっと奇跡
じゃないんだよね。まだ、宮ぷーの意識がはっきりしていないときだった。いつもの
ように「だいじょうぶです」「だいじょうぶですから」と繰り返す私に、お医者さん
は「あなたはどうしてそんなに自信たっぷりなの?」って聞かれたことがあったよ。
私はとっさに「それは脳だから」と言ったの。本当は「それは宮ぷーだから」って
心で思っていたんだけど、でも一番に口から出たのは「それは脳だから」って言葉
だった。自分でも「あれ?」って思ったけど、今から考えたら、その通りだったなあ
と思うのです。脳ってなんてすごいんだろう。本当にすごいよ。脳は、どんどん本来
持っていない働きの部分をONにして、肩代わりをし続けて、不可能を可能にしてい
くんだね。大切なことは信じること。そして信じ続けることだね。

金曜日の夜、ベッドを起こしたときに、それまで、どうしても体や首が左側に倒れて
いたのが、ずいぶんまっすぐに首が起こせていることに気がついたよ。どうして、そ
うなったかというと、たぶん、今まで頭を右に振ってスイッチを入れていたのを、左
側に振って入れるようにしたからだと思うの。でも、そんなにしたわけじゃないよ。
たった2日か3日のことだよ。でも、確実に変わっていく。手も、右手でスイッチを
入れる練習をして、2,3日で、指相撲ができるようになったよ。宮ぷー、今、左の
手の親指もちょっとだけ動くよね。私はどうにかして、左側でも、スイッチが入れら
れるようにならないかなあと思ってる。スイッチが左側でも入れられるようになれ
ば、ナースコールもスイッチも使えて便利っていうこともあるけど、必要としてどこ
かを、何度も自分の思いで動かすことって本当に大切なんだよね。宮ぷーの場合、動
かそうとして動かすより、スイッチを押そうとしたり、何かをつかもうとするという
ように、目的を持って動かすことが、すごく効果的なんじゃないかなあと思うの。
また、いっこちゃんと相談して、左手でも使えるスイッチを考えるよ。右手があまり
動かない時に試してみた、触れるだけで入るスイッチを使ってみたらどうかなと思
うよ。

宮ぷーがレッツチャットで「がんばれにっぽん」って書いてあったね。「オリンピック
の応援してたの?何の応援?」って言ったら、宮ぷーが「すけーと」って教えてくれ
たよ。
オリンピック、学校の子ども達もよく話してるよ。音楽室にね早く行ったの。それ
で、みんなが集まるまで、電子ピアノのデモの音楽を鳴らしたんだよ。ああ、フィ
ギュアースケートみたいな音楽だと思ってね、「からだがうごくよ」って言って、私が
音楽室の絨毯の上ですぺりだしたの。「よんかいてんじゃんぷ」って私が言って、
くるくるってしたらね、そこにいたゆうちゃんがね「口に出していいません。今のは
半回転ジャンプですね。アメリカ、ゼロ点ゼロゼロ、ニッポン、ゼロ点ゼロゼロ・・・
合計ゼロ点ゼロゼロ」とか言うんだよ。私は調子に乗って、それではモーグル行き
ますとか言って、直滑降に近い形ですべって、ジャンプって言って3Dジャンプもし
たんだよ。それから、カーリングもしたらね、ゆうちゃんがブラシでこすってくれ
たよ。ああ、楽しい。宮ぷーに話したら、宮ぷーが、くっくっくって笑っていたね。

今日は彦根、雪絵ちゃんの願いの全国キャラバンが、今日、彦根からスタートという
ことでした。映画を配給されてるハートオブミラクルのみんなも、来ていたよ。靖子
ちゃんやアルバさんや、きみちゃんや、いむらさんや、ふうちゃんも来ていたよ。
3つの映画を上映して頂いて、そのあと、私は、子ども達のお話しのあと、宮ぷーの
お話しをさせていただいたよ。2月20日という今日という日が、自分にとっては特
別で、やっぱり怖かったけれど、でも、そうじゃないんだ。今日という日が迎えられ
たのにはたくさんの方のお力があって、宮ぷーの頑張りがあって、一年目を迎えられ
たということがすごくすごくうれしいんだということもお話しさせていただいたよ。

今日は久しぶりに、宮ぷーの病院には、恭子ちゃんがお昼に来てくれて、私も宮ぷー
に電話をかけることができました。宮ぷーに、「今日は感謝の日だね、宮ぷー。がん
ばってくれて本当にありがとう」そういうと、宮ぷーが電話の向こうで声にはならな
いけれど、泣いているのがわかった。これからはじまる一年はもっともっとできるこ
とが増える一年になるよ。2月20日が来るたびに、それを確認していこう。
6ヶ月過ぎたら、ほとんど回復しないと言われているけれど、もうそれには耳を貸さ
ないのだ。宮ぷーは何年たとうと、絶対に回復していくよね。絶対にそうだよ。絶対
にあきらめることをしないで、いようね。

明日は埼玉に行きます。埼玉でも宮ぷーのことを祈ってくださっている方々にお会い
することができるよ。それが楽しみです。
もうあと10分で今日が終わるよ。たくさんの方が、だいじょうぶ。今日、悪いこと
がないように祈っているよと言ってくださいました。ありがとうございました。本当
にありがとうございました。

四つ葉に会えたよ

  • 2010/03/01(月) 20:08:59

四つ葉は忘れていなかったよ。宮ぷーは、前の宮ぷーとぜんぜん違うのに。「よつ
ばーあ」って今は呼べないし、車いすに乗っているし、やせてるし、体も足も手も動
かさないし、たぶんにおいもぜんぜん違うけど、四つ葉は忘れてなんかいなかった
よ。
四つ葉は、まっすぐに宮ぷーのとこに行った。私が四つ葉を抱き上げて、宮ぷーの顔
のそばに四つ葉を近づけたら、四つ葉は宮ぷーの顔をぺろぺろなめていた。宮ぷーも
顔をくちゃくちゃにして、涙をぼろぼろこぼして泣いていたね。四つ葉はずっと思っ
てたのかな?会えないあいだ、「どこに行っちゃったんだろう。私のこと、可愛がっ
てくれてたご主人はどこへ行っちゃったんだろう。いつもいつも帰ってきて私の名前
を呼んで、遊んでくれたのに」ってずっと思っていたのかな?

そしてね、驚いたことがあったよ。あー。四つ葉が泣いてる。二度目に宮ぷーのおひ
ざに四つ葉が乗った直後のこと、四つ葉の目が涙でいっぱいになってた。わんちゃん
たちも泣くんだろうか? わからないけれど、四つ葉から涙がぽろりと落ちたよ。
今日は朝から、四つ葉に会えるのが宮ぷーはすごく楽しみな様子で、四つ葉のことを
言うだけで、ちょっと泣きそうになっていたよ。朝、宮ぷーに、「よく寝れた?」っ
て聞いたら、「ねむれなかった。よつばにあえるからねむれなかった」って言った
よ。そっかあ、そうだよね。一年ぶりだもの。

今日は靖子ちゃんも撮影にきてくれた。宮ぷーにとっては大きなイベントだもの。お
正月に外出して、そのあと、眼科の受診には短いあいだ行ったけど、長い外出はその
とき以来。でも、前よりは私たちも落ち着いていたよ。洋服を替えて、はやめに胃瘻
にごはんも入れていただいて、出発。
いっこちゃんは、宮ぷーの家の近くで待っていてくれました。四つ葉が窓からのぞい
ていたよ。
宮ぷーが先に入って、そこへ四つ葉がやってきました。四つ葉にとってもなつかしい
宮ぷーのおうち。そこに置いてあった宮ぷーのジャンパーのにおいをかいで、そし
て、お部屋に入って、宮ぷーをみつけたんだよね。

いっこちゃんはその間、お買い物に出かけていたよ。四つ葉は少し大きくなってい
た。それから、毛並みがつやつやで、そして、少し落ち着いて見えたよ。
みんなの顔もひととおりなめて、それから、また宮ぷーの車いすの周りにいて、宮
ぷーを見上げていたよ。
それからね、宮ぷーの車いすの上に四つ葉を載せたりもした。宮ぷーはなぜたかった
んだって、でも、手が思うように動かなかったって、あとでそう言っていた。四つ葉
はときどきは乱暴犬なんだけど、されるままにしていたね。
やがていっこちゃんがお買い物から帰ってきたら、四つ葉はいっこちゃんの顔を
じーっとなんだか泣きそうに見つめていた。いっこちゃんがおうちからいなくなった
のも心配だったのかな?

ねえ、宮ぷー、四つ葉は本当に可愛いね。そして、すごく愛情いっぱいの毎日を送っ
ているよ。よかったね。会えてよかったし、元気な四つ葉でよかった。帰り際、宮
ぷーはいっこちゃんに「ありがとう」って言ってた。いっこちゃんが「また一月に一
度くらいはつれてこれます」って言ってくれて、宮ぷーはまた泣いたのでした。
今度会えるときは手が動くようになっているといいね。そうしたら、今度はなぜてあ
げられるものね。
帰り際、宮ぷーがレッツチャットで「きょうもいてくれてありがとう」と言ってくれ
ました。こちらこそ、宮ぷーありがとう。本当にありがとうの言葉って、なんて素敵
なのでしょう。宮ぷーの心と私の心に、やっぱり花が咲いたと思いました。

今日も素敵な感想のメールをいっぱいいただきました。ありがとうございました。し
ほこちゃんのメールを読ませていただいて、そのとき、私の心にもまた花が咲きまし
た。ありがとうございます。
・・・・
また素敵なことを教えてもらっちゃいました。ありがとうは心に花を咲かせてくれる
んですね。しかも言った人の心と言われた人の心の両方に。障害をもちながら、あり
がとうをいっぱい言えるような体にしてもらったと言える千恵ちゃんは、きっと本当
に心にたくさんきれいな花を持っていたんだと思います。ありがとう、と言って、す
ごくきれいな花をいっぱい咲かせたんですね。千恵ちゃんのありがとう、が今、私の
心にもきれいな花を咲かせてくれたような気がします。私も心を込めた「ありがと
う」でたくさん、きれいな花を自分の心にも、みんなの心にも咲かせたいなぁと思い
ました。宮ぷーさん、いつもありがとう。かっこちゃん、いつもありがとう。ひとつ
さん、いつもありがとう

しほこちゃん、ありがとう。

かつこ