人を幸せにするもの

  • 2010/01/28(木) 19:59:17

メルマガを見てくださった方が、もぐもぐ大作戦のときに、ミルミキサーもいいけ
ど、ブレンダーがいいよと何人かの方が教えてくださったのです。それは、ミキサー
みたいにふたがついていて、中で刃が回転というのじゃなくて、手で持って、コップ
の中とか容器の中にそれを入れて、ブーンとまわして作るというタイプのようです。
ミルミキサー2000円というのを見つけました。そうだ、それはおうちにおいてお
いて、ブレンダーというのを病院においてもいいなあとか、思ってこれも、4000
円くらいだったのですが注文しようと思います。もっと高いのも、もちろんいっぱい
ありました。でも、そんなに高くなくても、滑らかになるよと教えていただいたので
す。テレビでお皿の上にあるキャベツでソースを作っているのを見ましたと教えてく
ださった方もおられます。わーい。私にはこんなに強い味方がいっぱい、うれしいで
す。いろいろ教えてくださって本当に本当にありがとうございます。すっごく心強い
です。ここまで書いたら、おうちにマジックミルサーというものを買ったのだけどつ
かっていないので、もらってくださいというメールもいただきました。わーい、あり
がとうございます。ずうずうしいなあと思いながら、お願いすることにしました。
私、本当にこんなにたくさんの方に助けていただいてばかりだよ。本当にありがとう
ございます。なんだか、涙が出てきます。泣いちゃいます。

昨日は伊那でかんてんパパの製品を買ったお話を書きました。そうしたら、何人もの
方が、伊那食品の塚越社長さんのお話を教えてくださったのです。社長さんは、21
歳で、傾きかけていた会社の代理社長さんとしてやとわれて、会社を立て直したのだ
そうです。そのときに、一番に考えられたのは、社員のみなさんの幸せだったそうで
す。社是は「いい会社をつくりましょう」。
ネットで調べたら「会社の発展を通じて、社員がみな幸せになり、社員の幸せを通じ
て社会に貢献するべきだ」というのが、私の経営に対する基本的な考えだという塚越
社長さんの言葉が出てきました。
ねえ、宮ぷー、私にメールをくださったのは、伊那の方だけじゃなかったよ。千葉の
お友達や、他の県の方も塚越社長さんのことをご存知で、メールをくださった。こん
なにいろいろな方が、いい人だよといわれる社長さんは本当に素晴らしい方なんだろ
うなあと思ったし、神様というかお天道様が、ちゃんとまっすぐに生きておられる方
のことをいつも守ったり応援したりしてくださってるんだなあと思ったよ。

昨日ね、いっこちゃんが「歯が痛いからもう寝るね」ってメールがあったよ。朝、
いっこちゃんに電話をしたら、「親知らずが痛んでるんだと思うよ。寝られなかった。
何度も起きたよ」って言ったの。「あー、どうしよう、だいじょうぶ?」って言った
ら、「うん、だいじょうぶ。何度も起きたということは、何度も寝たって言うことだ
から、ちゃんと寝てるということだと思ったよ。痛いということは生きているという
ことだからありがたいね」って言ったよ。
そっかあ、歯が痛かったり目が痛かったりしたら、いろんなことが考えられなくなっ
ちゃうのに、そっか、そうだね、そんなふうに考えたらいいんだよねって思ったよ。
それでね、いっこちゃんは結果的には、病院へ行ったら、親知らずも虫歯もなにもな
かったんだって。それで、様子をみようということになったよって電話がありまし
た。お祈りがかなったのかなって言っていました。よかったあ。
昨日、家に帰ってから、何度も宮ぷーが口をとんがらして、ぷーって怒ったふり?の
表情をしてみせてくれて、すごく可愛かったなあと思ったら、思い出すたびに幸せな
気持ちになったよ。誰かの生き方や、表情やしぐさが他の誰かを幸せにできるってす
ごいことだね。すごいことだよ。


病院に行くと、今日は少しつらそうだった。でも、少しずつつらさが少なくなってい
る気がします。きっとそうだよ。昨日より気がつかないほど少しだったとしても、あ
れって気がついたときにはそのつらさがすごく少なくなっているよ。だって、そうだ
よ。前は顔がピクピクってひきつるようになって、本当につらそうだった。ずっと歯
をギリギリギリギリしていたよ。
脳幹出血を何年も前にされた方でお友達がいて、その方が、「かっこちゃんがいてな
いときは手動かしまくったらいいと思いますよ。かっこちゃんとメールとかできるよ
うに。ちなみに僕はそうしてきました」と教えてくださいました。宮ぷーとそのメー
ルを読んだら、宮ぷーも「じしゅりはがんばる」と言いました。じゃあ、メニューを
作って、それをがんばることにしようと言うことになったのです。宮ぷーと決めたメ
ニューはこんなです。
「足指10回 足ひざ10回(これは足のひざを内側と外側にまげること) 手の
グーパー10回、手の力こぶ10回(まげられないけど、曲げようとすると力がはい
るのです)、50音一回(あいうえおかきくけこ・・・・と口の形を作る)舌の出し
入れ10回」これで一セット。毎日何セットかして、それができたら、他の運動も考
えてするんですって。
きゃー、すごいよ、がんばって。かっこいいよ宮ぷー。がんばってね。私は応援団長
になって旗を振るよ。

レッツチャットをお世話くださった谷村さんがお電話をくださいました。「伝の心の
デモ機が週明けに届くのでお持ちしますね」とのこと。わーい、わーい、いよいよ
だ。デモ機だけど、いよいよだよ。いよいよ。メールができちゃう。インターネット
もできちゃうよ。私も宮ぷーからメールもらうんだ。ひとつ打つのも大変だから、
メールも大変かもしれないけれど、きっとくれるよね。わーい、わーい、週明けが楽
しみです。よかったよかった。今日もよかったの一日でした。ありがとうございま
す。

かつこ

集中リハビリ最終日

  • 2010/01/12(火) 19:56:50

婦長さんが、今月の請求書を持ってきてくださいました。
ありがとうございますと言いながら、ふとその紙に目を落とすと、請求額はおおよそ24万6千円。わかっていたけれど、目にすると、あー、とため息がでます。宮ぷーはMRSA感染症があるために、個室に入っています。体向のために来てくださった介護士さんも皆さんお部屋にはエプロンを着て入ってこられて、そのエプロンは、お部屋の医療用のゴミ箱に捨てて行かれます。そういう状態なので、どうしても個室でないといけないのです。医療費は高額医療の制度があるので、その分と、一日5250円のお部屋代と医療費でその金額になってしまうのです。「みやぷーこんなに高いの、だいじょうぶ?」宮ぷーは「ずっとはむり」と言いました。そうだよね。ずっとは無理。10ヶ月で240万円になってしまうもの。でも、今は、個室だからこそ、大きな声であかさたなと読み上げてくれるレッツチャットも使えるし、私も遠慮なく、夜遅くでも、宮ぷーの足の屈伸ができたり、手を動かすときも「がんばれー」って応援できます。そして、靖子ちゃん達に映画をとっていただけるのも、個室だからこそだと思います。だからと言って、私がなんとかできる額でもぜんぜんなくて「きっと一番いいように、神さまがしてくださるからだいじょうぶだよ」となんだか、そんなことを言ってしまう私に、宮ぷーもそうだよとうなづいていました。そして「なおるからだいじょうぶ」と言いました。そうだよ。なおって退院しよう。そうすればぜんぜんだいじょうぶだ
ものね。がんばろうーと、今日も頑張る宮ぷーです。
今日もまるで宮ぷーがしているように感じられるように、私が支えるけど、タオルを宮ぷーに握ってもらって顔を拭いて、歯ブラシを持ってもらって歯磨きをしていました。そのとき、急に思い出して涙がとまらなくなりました。そうだ、宮ぷーが倒れた頃は、看護婦さんが口の中の水分を吸痰の機械で吸い取っ
てくださりながらでないと、宮ぷーは歯を磨けなかったのです。ほんの少ししか開けられない歯と歯の隙間にやっとの思いで歯ブラシを差し込んで、そして、吸痰のチューブも差し込んでいました。そうしないと、歯磨きをして、出た唾液や汚れた水分が、肺へ入ってしまうから。そうすると肺炎になってしまう恐れがあったからです。
小さな隙間では思うように歯も舌の上も磨けず。でも、看護婦さんや介護士さんが、歯は脳に近いから、頑張って歯磨きをしましょうねと宮ぷーに何度も声をかけてくださった。私たちは本当にかけてくださる言葉ひとつひとつにすがるようにして、そのことを繰り返ししていたのです。
 それが今は大きくはないけれど、指が入るくらいの口をあけてくれて、私は宮ぷーの舌を押したりひっぱったりもしてリハビリもしているよ。
 前はコンクールという緑色の液体を水に入れて、歯磨きをしていた。すっきりする味のよう。うがいができないし、歯ぎしりと口の緊張が強くて拭き取りも難しかったから、それを使っていました。でも、今はうがいこそ難しいけれど、歯磨きティッシュという濡れティッシュで口の中をきれいに拭き取れるようになったので、ガムの液体も使えるようになりました。
今日は靖子ちゃんが来てくれる日。迎えに行ってくる前に、「宮ぷーの短歌って、おもしろくて素敵。また作ってね」と言って出かけたのです。そうしたら、おもしろいのです。宮ぷーが作った短歌は「りはびりに とけるみやぷーばにらあじ」と書かれてありました。キャハハと笑っていたら、お部屋のカーテンの向う側でカメラの準備をしていた靖子ちゃんが「なんだか楽しそう」と笑っていたよ。宮ぷーは、本当は今日も息がつらかったのだけど、そんな中でも、素敵な短歌を作ってくれる。宮ぷーは本当に強くて、すごいよ。
 靖子ちゃんに、新しくできるようになった手の動きや、それから、右足をたてて、外側に倒したあと、内側へ戻すというのも見てもらいました。靖子ちゃんが目をまんまるくして、すごい、いよいよ、足も動き出したと言うのを聞いて、宮ぷーもすごく
うれしそうだったね。
 けれども、やっぱり息がつらい宮ぷー。けれど、つらいときはベッドを倒したり、練習をお休みしていた今までの宮ぷーとは、ぜんぜん違う。宮ぷーはどんなにつらくても、スピーチカニューレをはずすとは言わないし、ベッドも倒すとは言わない。靖子ちゃんに、「今までと宮ぷーの取り組み方が違うのはどうして?」との質問に宮ぷーは「いきだけでもできるようになりたいから」と答えていました。もちろん、今までも宮ぷーは頑張ってきたけれど、歯をギリギリさせて、苦しそうに顔をゆがめても、やめようとしない宮ぷーに、靖子ちゃんは圧倒されていたし、私も、本当になんてすごいのだろうと、毎日涙がとまらなくなります。一番ベッドを起こして、ほとんど垂直に座っていて、息のつらさに顔をゆがめていても、宮ぷーは首を自分で起こしたり倒したりを何度もしていたね。本当に、なんて頑張り屋なんだろう。そして、それだ
からこそ、宮ぷーが毎日、新しくできるようになることが増えているのだと思うのです。
今日もうれしいことがありました。宮ぷーにいつもとても親切にしてくださる、宮ぷーの大好きなひろ介護士さんに、宮ぷーのひざを立てた足が、内側へ戻るのをみてもらったのです。ひろさんは、あーと口をぱーと開けて、すごく感動してくださいました。「宮田さん、すごい。本当に世の中に不可能ってないなあって今、宮田さんの見て思ったわ。本当にすごいね、宮
田さん、いや、すごいわ」って何度も言ってくださったのです。「感動したわ、僕、宮田さんが電動車いすで僕が走って、マラソンに出場本気でしたい。本当に不可能なことって絶対にないんやね。宮田さんが6階へ来たときは手も動かんし、足も動かんし、僕らの言ってることがわかっているのかどうかもわからんし、僕らも宮田さんの気持ちとか知ることもできなかったのに、もうコミュニケーションがしっかりとれて、ナースコールも押せて、手も動いて足も動いて、首もしっかりして、今日も足がこんなに動いて、宮田さん、ありがとう。僕もがんばるわ。不可能ってないわ」そんなふうに言ってくださったのです。そして、「気切もとれて、胃瘻もとれて、食堂で一緒に食事しよう。僕は喜んで、食事介助するし」とも言ってくださいました。
 宮ぷー、本当にうれしかったよね。ひろさんは、「世の中不可能ってないんやね」って何度も何度も言ってくださったよ。宮ぷーのことを見てそう思ったって、言ってくださったんだよ。宮ぷーは、もっともっともーっとなおるよ。だって、宮ぷー全部治るんだもん。
靖子ちゃんを駅へ送ったあと、病院へ戻ると、宮ぷーがまた「かっこちゃんだいじょうぶ? ねむるじかんある? からだだいじょうぶ?」と聞いてくれました。私はだいじょうぶ、強いし、寝ないのは慣れているというと、宮ぷーはまた「がんばるぞ」とレッツチャットで言いました。宮ぷー、頑張ってるよ。頑張ってる。よし、私も頑張るよ。
今日のみなさんはどんな日だったでしょう。みなさんが宮ぷーのことを祈ってくださって、宮ぷーは今日も頑張ることができました。本当にありがとうございます。みなさんの明日も素晴らしい日でありますように。

かつこ

外出できた!

  • 2010/01/01(金) 12:18:14

1・1
元旦。
今日は宮ぷーが倒れてから初めておうちへ帰る日。家にいる時間は1時間半くらいだけど、でも、宮ぷーはこの日をどんなにどんなに夢見ていたことだろう。着るものも全部用意して、帽子や靴下も用意して、あとは熱が出なければ外出だねと看護婦さんにも昨日言っていただいていたのです。
 それなのに、それなのに、私が病院に行って、新年おめでとうございますと言って、うれしそうな宮ぷーの体に触ると、熱い!宮ぷーの体が熱いよ。え!?熱? 熱が出たの? 体温計で測ると37,8度。うわあ、熱が出ちゃった。どうしよう。宮ぷーは何度も首を振る。絶対に絶対に行くという。そうだよね。行きたいよね。でも、無理はできないよ。靖子ちゃんやアルバさんには来てくださって申し訳ないけど、無理できないよ。
 でも、何度も外出という宮ぷー。たぶん、うれしくて寝られなくて出た熱だろうと思った。私もそうだもの。うれしい日は必ず熱を出していたよ。遠足や修学旅行、必ず熱が出たもの。
お布団と毛布をめくって、寒い?と聞くと寒くないという。つらいところは?と聞くとないという。それだったら、熱がこもったのかもしれないからねと、病衣をあけてみたりもすると、熱が37,4度になった。でも、これでもだめだよと言うと、「せなかもあける」と言う宮ぷー。座ってもらって、背中にもくっしょんをいれて、それからしばらくして測ると、36,8度。ああ、よかった。でも、油断はできないね。検温のときに高かったらいけないもの。足をさわると、もう熱くなかった。どうぞどうぞ行けますように。そうでなかったら、本当に宮ぷーはショックをうけちゃう。
おとといのこと、宮ぷーの着ていく服を恭子ちゃんと三人でみていたときのこと、宮ぷーが「サングラス」と言いました。「きんじょのひとにみられたくない」と宮ぷーが言ったよ。
恭子ちゃんは「だいじょうぶや、これだけ着ていればだれかわからんわいね」と言ったね、でも、私は宮ぷーに「宮ぷー、おうちで暮らすんだよね。退院したいんだよね。何度もそれまでに帰るんだよね。だったら、いっそう堂々としていたらいいよね。病気は誰だってなるよ。いつなるかわからない。それが宮ぷーだっただけだもの。ね、私たちの大好きな子供たちも、堂々と生きていってほしいよね。宮ぷーも子供たちにそう言ってきたでしょう? ねえ、宮ぷー、少しも恥じることじゃない。それどころか、こんなにがんばっていること堂々と見てもらって、回復していくことを近所の人にも喜んでもらおうね」そんな私のことばを、宮ぷーはそのことを覚えていてくれたんだと思う。「さんぐらすはいらない」と言ってくれました。うれしいよ。宮ぷー。
そしてね、今日はね先生が一日だけど、出勤をされて、病室に顔を見せてくださるとおっしゃっておられたんだよ。宮ぷーは先生と約束した首をおこすこと、気切を親指でふさいで息をすることなどを見ていただきたかったんだよね。
熱がさがったくらいに、先生が来てくださったよ。さっそく首を起こすのをみていただくと、先生は「宮田さん、すごいです。すごいです」と言ってくださる。そして、「宮田さんががんばってるから、私もがんばります」って言ってくださったんだよね。
「私たちは飲み込むときに、息をしないで飲んでいるのです。でも、気切があいていると、どうしても空気が入ってきてしまうから飲みにくいんです。気切を閉じたほうが飲みやすいです」と教えてくださった。宮ぷー、だったら、今、気切を閉じても息ができるようになってきているから、飲み込みも、スピーチカニューレ(気切にふたがついてる)になったら、もっともっとできるようになるよ。そして、スピーチカニューレにだって、きっともうじきできるようになる。そうしたら、宮ぷーがこんなにも願っている口から食べること、声を出すことができるようになるよ。宮ぷーはうつぶせにもなりたがってる。でも、気切と胃漏のチューブがあるから、できないんだけど、うつぶせにも一歩近づくね。
先生に、これからもいろいろと教えてくださいとお願いしたよ。宮ぷーは首も一生懸命あげて、先生にみていただけて、ほっとしたみたいだった。
みなさんが、「今日外出ね、よかったね」と声をかけてくださる。そして、靖子ちゃんとアルバさんを駅に迎えに行くときに、介護人さんが、オムツを交換するときに、病衣からパジャマにも着替えさせてくださるとのことで、お願いして、二人を迎えに行きました。
雪がはじめての靖子ちゃんは、「さむーい」と言いながら、「石川の雪は寒いから、まん丸なんですね」なんて言うんだよ。宮ぷーは目をまんまるにしてびっくりしてたよ。「靖子ちゃんそれはあられだよ」 宮ぷー、靖子ちゃんおもしろいね。
宮ぷーはそのあと靖子ちゃんに「がいしゅつたのしみ」と話した。
お昼の食事を早めにしていただいたときに、検温があったよ。ドキドキしちゃった。アー・・・お願い、下がってて。よかった。看護婦さんが「熱もないし、だいじょうぶね」と言ってくださったよ。
恭子ちゃんも来て、恭子ちゃんが用意した靴下をなんと4枚も重ねて履き、帽子をして、パジャマの上に、私のカーゴパンツ。それから、上着を着てその上にジャンパーそして、マフラー。介護人さんが車椅子に載せてくださって、いよいよ出発。
恭子ちゃんの乗っているファンカーゴは宮ぷーがお母様のために、車椅子仕様にしたものだから、宮ぷーの外出も、ファンカーゴに乗り込むことになりました。車椅子のまま、スロープで乗り込みました。車椅子をずいぶん起こさないと、後ろのドアがしまりません。そうすると、宮ぷーの首が倒れてしまうのです。ああ、首の練習をしていてよかったね。でも、30分もそんな状態で大丈夫? 二週間集中リハビリの前はぐらぐらしていた首がしっかりしてきていなかったら、そんなことできっこなかったんじゃないかと思うと、神様が一番いい時期に、私たちにその二週間と、外出を用意してくださったんじゃないかと思えてならないのです。
私はアルバさんと靖子ちゃんの三人で銀ちゃんであとをついていきました。何度もファンカーゴが停まって、恭子ちゃんが宮ぷーの体勢をととのえたり、首を起こしてるのが見えました。心配したけれど、無事に到着。
宮ぷーのおうちはバリアフリーになっているので、どんどん車椅子で入っていって、そして、宮ぷーが頭を動かして、行きたい方向を教えてくれる。仏壇と神棚におまいりをして、宮ぷーは居間や書斎を見て「なつかしい」と言った後、台所へ行って、冷蔵庫の中を見たがった。そしてね、あかさたなで、「おりょうりしたい」と言った。宮ぷーはお料理得意なんだよね。
おうちにいる涼ちゃんは、ハイハイをしたり、つかまり立ちをしたり、とても活動的。宮ぷーの乗っている車椅子の宮ぷーの足につかまったりもして、宮ぷーは、涼ちゃんが可愛くてならなくて、とてもうれしそう。宮ぷーは泣いちゃうのかなあと思ったけど、なんだか静かに感動しているみたいだった。テレビのハードディスクの中を、恭子ちゃんと一緒に整理をしたり、靖子ちゃんのインタビューにも答えたりした。
「二週間の集中リハビリで宮ぷーはすごくできることが増えたと思うのだけど、何が一番うれしかった?」 首がしっかりしてきたことって言うかな? それとも、気切のことを言うかな? 私はちょっとどきどきしていたら、宮ぷーは、あかさたなで「いきができる」と言った。思い出した。そうだ。宮ぷーは前に靖子ちゃんに、集中リハビリの目的は「いきができるようになること」って言ったんだ。そっか、できるようになったんだ。いっぱい座って、首もしっかりして、それから、口で息する練習をするうちに、息もできるようになったんだね。うれしいね。「ね、宮ぷー、その次はどれ? たくさんできることが増えたでしょう?どれがうれしい?」私は聞きたくなって、たずねたら、宮ぷーはびっくりすることを言ったよ。「かっこちゃんといられること」え!? どうして、だって、宮ぷー、首がすわることってすごくうれしいでしょう? 口で息できたのもすごいでしょう? それより、私といることがうれしいの? だって、私、きかんぼうだよ。宮ぷーが苦しそうでも、痛そうでも、鬼軍曹になって、「つぎは何をする?」って聞く私だよ。それでも、うれしいの? 私はそれよりうれしいなんて信じられない気がしたよ。宮ぷーは何度も、いっしょがうれしいとうなづいてくれたので、驚愕の事実を告げました。「宮ぷー、大変だよ。驚愕の事実があるよ。新学期の準備を夜にしてるけど、もうすぐ終わるから、6日もお休みをいただこうかなあと思って、そうしたら、7,8日には学校に行くから、夜しかこれないけど、9,10,11日は連休でお休みだから、集中リハビリ、実は二週間で終了しないんだよ。私が目を大きくあけて、大変だよって言う顔をしたら、宮ぷーもおんなじ顔をして、目を大きくしてたいへんだあという顔をしたよ。でもね、その次の週の土日も、一週間後の土日も続けて、講演会があって、いられないの。鬼コーチもいないのでゆっくりしてね。私が言うと、宮ぷーはどうしたことでしょう。顔をくずして泣いちゃったんだよ。ああ、宮ぷー、そんなふうに思ってくれて、宮ぷー、本当にありがとう。私、うれしい。
痰がごろごろしてきて、吸痰をすることにしたよ。貸していただいたレンタルの吸痰の機械を使って吸痰。自分で言うのもヘンテコだけど、こういうことはうまいのだ。何ヶ月もいろいろな方の吸痰を見せていただいてきたし、まねとかうまくて、ちょっと器用だったりするのだ。わー。自分で言ってる。ごめん。
さあ、もう帰る時間。そのとたん、宮ぷーの中に悲しい思いが広がったんだと思う。また目を真っ赤にして、泣きそうなのを我慢して、でも、涙を流している宮ぷーがいた。「一回帰ってきたら、自信ついたでしょう。やっていけそうだと思ったでしょう。おにいちゃん泣かんとき」恭子ちゃんは、こんなとき一緒に泣いたりはしないで、さっさと準備をしてた。恭子ちゃんがいてくれて、わたしもほっとしたよ。私が一緒に泣いていたら、どうしようもないもの。
またいっぱい厚着をする。恭子ちゃんが車椅子の首の支えを取ろうと言った。支えがなければもう少し首が倒れると思うからと。首をしっかりする練習を始めたときは、外出のことなんて、考えてもいなかったんだけど、でも、しっかりしていて、本当によかったね。
病院に着くと宮ぷーは、私に口をパクパクして何か言いたいことがあるよと言う。「もうにどとのらない」え?どうしたの。宮ぷーはゆれたのがこわかったという。今日は雪だったし、車椅子での始めての外出だったから、怖かったんだよ。同じ経験をされたみなさんが、みんな車椅子で車に乗るのが怖かったって言っておられたよ。
病院でインタビューの続きが始まった。「こんどのもくひょうはなんですか?」靖子ちゃんの質問に宮ぷーは「ねがえり」と言ったよ。わあ、寝返りかあ。気切をしているからむずかしいなあ。でも、毎日練習をしているように、足を交差して、体を反対の方向へ向ける練習を続けよう。体を横にしたり、倒したりできるようになったら、体向もしなくてもいいかもしれないものね。それに、そうだよ。ねがえりができたら、ハイハイをして、そして、足を動かす練習もしようね。絶対にしよう。そうなるよ。
靖子ちゃんは、延長集中リハビリが終わるころ、また来てくださるそうだよ。